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ジャイアンの本名は剛田武。では妹であるジャイ子ちゃんの本名は何というのでしょうか? 謎の覆面作家クリスチーネ剛田ことジャイ子ちゃんの噂の本名を検証します。
答えとしては、ジャイ子という呼び名はあだ名であると確定しているものの、具体的な本名は不明でひみつということになっています。
このことは、西田真基先生によるドラえもん百科で描かれ、その後の特集では5月生まれという設定も追加されます。

当初は作者もそのうち本名を書きたいという気持ちはあったようです。しかし、小学館側からも同様の企画が持ち込まれ、作者と編集者が1時間も話し合った末に「同じ名前の子がからかわれたらかわいそう」という理由で作者自ら取りやめたという言い伝えが残っています。1996年に作者が没したあともその意志を尊重し、現在もひみつという公式設定となっています1。
それでも、巷にはジャイ子先生の本名に関する噂が流れています。もしかしたらその中に真実があるかもしれません。検証してみましょう。
残念ながら、スケッチブックに書かれていた「クリスチーネ剛田」の「ネ」を「香」に誤認したのではないかと推測されています。
出典はてんとう虫コミックス40巻「泣くなジャイ子よ」です。A5サイズの大全集17巻では1枚目も「ネ」であることがはっきり確認できます。
残念ながら別人のようです。てんとう虫コミックス3巻「ああ、好き、好き、好き!」に登場するジャイ子に似たぼた子ちゃんの名前が変化して伝わったのではないかと推測されています。

ファンによる研究本『野比家の真実』(p.122)の考察をきっかけに広まった噂のようです2。残念ながらジャイ子は本名ではなかったので、ジャイアンの由来は巨漢を意味するGiantとは思われるものの作者は明言していません。
作者も当時流行ったドラえもんの謎本を読んだとのこと、「『ドラえもん』の謎はというと、本当のところ、作者である私が握っているというのが、真実なのです」とコメントしています3。結局ひみつ。
以上、3つの噂を検証してみましたが、どれも真実ではなさそうです。作者だけでなくジャイ子先生自身がひみつと答えていることに配慮し、筆者としては若い女性作家のプライバシーをこれ以上詮索するのは控えておくことといたします。
ジャイ子ちゃんは作品中盤から漫画家を目指し、作中随一の成長を果たしました。作者にとっては漫画家人生の苦労を反映した愛着のあるキャラクターだからこそ、安易に本名は付けられないと真剣に検討した末に、ひみつのままとすることにしたのかもしれませんね。
ジャイ子ちゃんは当初のび太の結婚相手として登場したものの、のび太に連動して彼女の運命も変化したとされています4。このことに関しては裏のドラマがありました。
いそほゆうすけ先生によるスピンオフ作品「ドラミちゃん5」にてドラえもんが22世紀に帰ったときのこと、ドラえもんが将来交通事故で修理不能レベルの故障に見舞われることが判明します。
その要因はジャイ子ちゃん。のび太の将来の変化による反動で彼女は不幸な人生を送ることになり、その影響はなぜかドラえもんにも及ぶようです。

今度はジャイ子ちゃんの運命を変えるため、ドラミちゃんが剛田家に派遣されます。それが状況を好転させたのか、本編にて彼女の作品は次第に評価されるようになり、茂手もて夫くんという同人誌仲間もできました。作者の体調不良により連載が中断したためその先は描かれなかったものの、彼女の将来もきっと幸せに向かうことでしょう。
参考文献:『Blackstrawberry』(ジャイ子の本名)、『藤子不二雄atRANDOM』(誤解その2、その16)
- 『Neo Utopia 40号』p.34. 別紙壮一氏コメント、『ドラえ本 ドラえもんグッズ大図鑑 2』p.102.[↩]
- 『野比家の真実』は、全集がなく作品の全貌が不明だった時代に書かれた割にはかなり詳しいです。『Neo Utopia 18号』(pp.62-73)で特集が組まれており、著者や編集者のインタビューなどもあります。[↩]
- 「ドラえもんの重大過去を徹底究明!」『女性セブン』p.57. 1993年12月2日号. 小学館[↩]
- いそほゆうすけ『決定版ドラえもん大事典』p.261. 2001. 小学館[↩]
- 小学館『ぴょんぴょん』1990年7月号から1991年6月号まで連載。参考:いそほゆうすけ先生インタビュー(Neo Utopia 33号抜粋)[↩]